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〜 カヤコ・19才 〜



僕は透明人間です。

 と、告白すると、僕がちょっと頭のおかしい人、と思われるかもしれません。

 それはそれで、一向に構わないと僕は思うのです。
 だって、僕が体験した、いえ、体験していることは全て事実であって、誰がどんなふうに僕のことを考えようと、その事実を変えることはできないからです。
 透明人間といっても、H・F・セイントの小説の主人公のように、恒常的に透明で、それゆえに日常生活に困る、なんてことはありません。
 僕が望んだ時、僕はいつでも透明になることができるのです。特別な薬を飲むわけでも、マッドサイエンティストの発明した奇怪な装置に入るわけでもありま せん。
 ただ、透明になるぞ、と気合を入れて、数秒待てばいいだけです。
 これがどういう仕組みになっているのか、実は自分自身でもよく分かっていません。いくつか自分なりに試みた実験によると、食べたものが食道や胃の形に なって見えてしまうということもありませんし、衣類だけが体の形に膨らんで浮かんでいる、ということもありません。全裸にならなくても、衣類も一緒に消え てしまうのです。透明人間にとって必需品であるはずの包帯は、僕に限ってはどうやらその意味をなさないみたいです。
 そして透明な状態で衣類を脱ぐと、僕の体を離れて数十秒でその服は実体が見えるようになるのです。もしかすると、僕の体から何らかのガス状の物質が放出 されているのかもしれませんし、体温か何かが関係しているのかもしれません。
 現状の僕の乏しい知識では、そんな心もとない仮説しかたてることができませんが、実際の科学でも光学迷彩とかなんとかいって、いろいろと研究がなされて いるようですし、そのうち誰かが解明してくれることと期待します。
 さて、この特技といっていいものかは分かりませんが、この妙な体質のおかげで、僕が世間一般のごく普通の人々には滅多にできないような、稀有な経験をい くつもしてきたであろうことは、皆さんにもすぐに想像できるでしょう。

 今日は、その中から一つのエピソードを披露してみたいと思います。
 なにぶん話し下手な性分ですのでお聞き苦しい所には目を、いえ、耳を塞いでいただくということで……

 僕が自分の特異体質に気がついたのは、大学時代のことです。
 といってもさほど昔の話でもないですけれども。
 自宅でゴロゴロとしながらテレビドラマを見ていた時のことです。主人公と思われる透明人間が、もっともそんな特異なキャラクターが脇役であるはずもな く、自分の体質を武器に活躍する、というか暗躍するお話でした。
 僕はそれを見ながら、その人物を羨ましく思っておりました。
 透明人間か、是非一度は経験してみたいものだ、と。

 ――その時、僕は自分の体に妙な感覚が走るのを感じました。
 言葉にするのは難しいのですが、体の中に何かもんやりとしたものが湧き上がる、というか、いえ、それは微かなものでしたけれども。なんと言うか、こう、 とにかく違和感を覚えたのです。
 それでも僕は、別段気に留めることもなく、畳の部屋に寝そべって、片肘を突いた手の上に頭をのせたまま、テレビを見続けていたのです。

 そうこうしているうち、ふいにカラリと襖が開き、その時はまだ同居していた母が顔を出しました。
 そしてこう言ったのです。
「あれ、いない。テレビもつけっぱなしで」
 言った、というよりそれは独り言に近い感じでした。そしてそのまま、母はもう一度襖を閉めて台所に戻ってしまいました。
 すぐ足元に寝そべっている自分の息子に気がつかないとは、なんてそそっかしい人なのだろう。僕は苦笑いして、起き上がろうとしました。

 異変に気がついたのはその時でした。
 自分の足が見えなかったのです。
 当然畳の上に投げ出されているはずの、自分の足が。
 えっ?
 と思った僕は、目の前に自分の両手の平をかざしました。
 そこには何もなく、見えるのはその先の天井照明だけです。
 僕は手を握ったり、開いたりしてみました。僕の目に映らないだけで、感覚は普通にあるようです。
 いえ、正確に言えば普通ではありませんでした。手の平だけでなく、嗅覚や聴覚といったあらゆる感覚が普段よりなにかこう、研ぎ澄まされて冴えているよう な、そんな感じがしました。

 僕は目をしばたたかせました。目の前で起こっていることがとても信じられなかったからです。そしてそこでまた新たな発見をしました。
 目を閉じても、前が見える。
 それは手足だけでなくあらゆるところ、つまり瞼までが見えなくなっているということを示していました。試しに自分の腕や胸に触れてみると、それが見えな い、ということを除けば、いつもどおりの感触です。
 これは一体どういうことなのだろう?
 そのときの僕は、驚きよりも正直恐怖を感じていたと思います。
 僕は一心に祈りました。神様どうか僕の体を元にもどしてください。もう悪いことなど決していたしません……

 普段は無神論者を気取っていても、やはりいざとなれば神頼みです。それでも神様は、僕のムシのいい願いを聞き入れてくださいました。それからほんの数秒 で、僕の体は五体満足元通り、視認できるようになったのです。
 それでも恐怖から抜け出せなかった僕は、おそるおそる台所へと通じる襖を開けて母の様子を伺いました。
 皿を洗っていた母は、ひょいと僕の方を振り返りました。
「なんだ、やっぱりいたんじゃないの。お風呂が沸いてるから、入ってらっしゃい」
 その言葉を聞いて、ようやく現実の世界に戻ってきたんだという、安堵感を得ることができたのでした。

 それから数日の間、僕はこの日の出来事に対して、自分なりにいろいろと理由付けを施してみましたが、結局これといった明確な解答を得る事はできませんで した。それでも僕は鍛錬に鍛錬をかさね、自在に自分自身の姿を消すことができるようになっていったのです。
 それが何の為にかをお教えするのは、自身の恥を晒すようで本当は気が引けるのですが……

 男性の方なら一度は夢想されたことがあるかと思います。
 透明になったら、何をしようかと。

 そう。
 覗きです。

 その頃僕には、思いを寄せる一人の女性がおりました。
 名をカヤコといいました。
 もちろん仮の名前ではございますけど。
 彼女は静岡の生まれでしたが、両親からの援助を受けて東京のアパートに一人で暮らしていました。そしてそこから僕と同じ大学に通っておりました。色が白 く、線の細い華奢な女性でした。清楚な、などという表現は、僕の耳には妙にわざとらしく聞こえるのですが、カヤコに限っては、まさにその清楚という言葉が ぴったり似合っていました。

 そんな彼女の部屋に居座り、本人にはそれと悟られずに普段の生活を覗き見る。
 何と甘美な誘惑でしょうか。

 自身の体質をコントロールすることに絶対の自信を持てるようになった僕は、喜び勇んでカヤコの部屋の前までやって来ました。そしてそこで思いもよらない 障害の前に立ち尽くすことになります。
 確かに僕は自在に自分の姿を消すことができるようになりました。しかしだからといって、壁や扉を自由に通り抜けることができるわけではありません。
 普通の感覚を持ち合わせた人であれば、部屋に入るとき、知らずと自分が通れるだけの余裕を計って扉を開き、中に入ればそのまますぐに扉を閉めてしまいま す。つまり、わざわざ自分に見えない人間のために、その人が扉の中に入るための猶予など、与えてはくれないのです。
 どうやったら、カヤコの部屋に怪しまれることなく進入することができるだろうか。僕は諦めることなく思案しました。
 そして結局、僕が実際に使ってみた手法はこうでした。
 カヤコが自宅に戻ってくるまで、廊下で待機。また、これがなかなか骨の折れる仕事でした。廊下を通る人には僕の姿が見えていないわけですから、僕を避け てくれるはずもなく、ぶつかって不審がられるのを避けるために狭い廊下の壁に張り付いて、いかなる物音も立てぬように細心の注意を払って、その通行人をや り過ごさなければならなかったのです。
 ともあれ、カヤコが戻ってくるまではそうしてじっと待っているのです。
 やがて、カヤコがやって来ます。
 ここが彼女の自宅なわけですから、彼女がここに戻ってくるのは至極当然のことなのですが、すでに待ちくたびれて、くたくたになっていた僕は、まるで彼女 が運命の力に導かれて、僕の待つこの場所にやってきたのだと錯覚してしまうほどの感動を覚えたものです。
 カヤコは手にしていた小さなカバンの中から自宅の鍵を取り出し、慣れた手つきでそれを鍵穴に差し込みました。そして扉を開きます。
 僕は彼女がまさに扉の向こうへと消えようとしたその瞬間、彼女の肩をトントンと二度ほど叩きました。
「え?」
 小さな驚きの声を上げて、カヤコが振り返ります。
 そのすぐ目の前には、僕。
 しかし彼女の瞳に僕が映ることはありません。
 カヤコは玄関の扉を開いたまま、きょろきょろとあちらこちらに目を向けていました。
 そしてその隙に、僕は彼女の部屋へと侵入を果たしたわけです。

 カヤコより一足先に部屋に入った僕は、まず、甘い香りの歓迎を受けました。彼女が使うシャンプーや洗剤や、そして彼女自身の香りが混ざって、なんとも芳 しい、ほのかな香り。僕はうっとりしながらも、土足のまま、彼女の部屋の奥へと進んでいきました。
 先ほども申し上げましたが、衣類の類は僕の体を離れて数十秒でその姿を現します。自分の部屋に突然見知らぬ男物の靴が出現したら、それは大変なことで す。きっとカヤコも大騒ぎをするに違いありません。だから僕はカヤコに申し訳なく思いながらも、靴を脱ぐことができなかったのです。
 カヤコの部屋は決して広くはありませんでしたが、僕の想像通りに女の子らしい色に満ちていて、そして綺麗に整理されていました。
 床はよく磨かれており、部屋の奥の窓際には薄桃色の掛け布団をかけたベッド、その枕の横には小さな白い熊のぬいぐるみが置かれていました。そして脇には 勉強机。その隣にある本棚には、たくさんの本が並べられています。カヤコは実に勉強熱心な学生でした。

 僕はとりあえず、音を立てないように注意深く部屋の隅まで移動して、壁によりかり、さっそくカヤコの観察を始めることにいたしました。
 スタスタと、カヤコが部屋に入ってきます。
 カヤコに僕の姿が見えていないことは確かなのですが、やはり緊張で胸が高鳴ります。もしかしたら僕の鼓動が彼女の耳に届いてしまうもしれないと気が気で はありません。
 しかし、僕の不安をよそに、カヤコは淡々と慣れた様子で手にしていたカバンを勉強机の上に置き、羽織っていたカーディガンを脱ぐと椅子の背もたれに掛け ました。そして腕を高く上げて、ウーン、と伸びをしました。
 グイッと背中をそらすので、ブラウスの胸元がぴったりと彼女の胸にはりつき、下着の線を浮かび上がらせます。華奢な人だと思っていたけれど、意外に豊か な胸をしているのだと、僕は始めて気がつきました。
 きっととても柔らかいのだろうな……
 思わず淫らな想像をしてしまいます。

 着替えをしてくれればいい。
 そう思っていたのですが、その期待に反して、カヤコはそのままの格好でベッドに腰を下ろし、そのままパタリと横になりました。
 僕はベッドの足側にいます。
 カヤコがうつぶせになり、両膝を曲げて空中で足をヒラヒラと動かします。
おかげで膝下まであるスカートの裾が、膝の上のあたりまで捲れてしまっています。ミニスカートをはいた女性の太ももより、今のカヤコのふくらはぎの方が何 倍もエロティックです。
 僕は手を伸ばせば触れられるほど近くにある、カヤコのストッキングに包まれた足をジイッと見つめていました。

 やがてカヤコが手を伸ばし、枕の脇にある白い熊のぬいぐるみを掴みました。そしてそれを目の前に置いて、見ています。
「アキ君、今日はちょっとしか話せなかったね」
 カヤコが熊に話しかけ始めました。
 僕は耳をそばだてました。
「○○君が休みだったからかな?すぐ帰っちゃったからつまらなかったよ。本当はもっと話してたかったのにな」
 僕はぎょっとしました。○○君、というのが僕の名前だったからです。だとすると、アキ、というのは僕の親友のアキヒトのことだろうか?
 カヤコはまだ話し続けます。
「ねえ、どうしたら、アキ君と二人っきりでたくさん話ができると思う?」
 カヤコの質問は、もちろん僕に向けてのものではありません。熊に質問しているのです。
 つまり、カヤコは僕の友人のアキヒトに思いを寄せていて、なんとか彼と話がしたいと、そう思っているのです。こんなにも、カヤコに恋焦がれている僕がい るというのに、よりにもよって、アキヒトなどに……

 確かにアキヒトは親友です。
 しかし、彼が女性にだらしがないのも事実です。
 現に何人もの女性が彼に泣かされています。中には妊娠してしまい、それがその子の両親の知るところとなり、無理やり堕胎させられた人もいるのです。
 それなのに、そんなやつにカヤコは……
 僕は悔しいやら、悲しいやら、情けないやらで、涙が出そうになってしまいました。僕が見えない手で、誰よりも透明で澄んだ涙をひっそりと拭うと、なんだ か今度は怒りが湧き起こってきました。それも、僕が今まで経験したことのないような、激しい怒りです。
 それがアキヒトに対しての怒りなのか、カヤコに対してのものなのか、僕には考える余裕もありませんでした。
 ここでむやみに行動を起こせば、大変なことになる。もちろんカヤコの私生活を覗き見ることはこれ以上不可能になる。
 頭では分かっているのです。
 分かっていたのですが……

 無意識のうちに、僕の腕がカヤコの足に伸びました。
 そして、指先に伝わるカヤコのストッキングの感触。
「ん?」
 カヤコが上体だけを起こして振り返ります。
 するとスカートがずり上がって、カヤコの真っ白な太ももの内側がキラリと僕の目を刺します。
 僕の体が勝手に動き、ベッドの上に膝と片手をつくと、伸ばした手をさらにカヤコの太ももまで滑り込ませました。シャアッというストッキングの肌触りと、 やわらかな肉の弾力が、僕の思考を狂わせます。
「え?ええ!?」
 カヤコはわけが分からないという顔で、それでもとにかくこの不可解な感触から逃げようと身をくねらせました。
 逃がしたくない。僕の本能が、そう叫びます。僕は衝動の赴くままに、その手をさらに置くまで差し込みました。
 さすがにカヤコが本気で逃げようともがき始めます。僕はついに完全にベッドの上に身を預け、彼女の腰を抱えました。
「いやあ!何?何なの!!?」
 カヤコは、まさに半狂乱といった様子。
 僕もまた、然り。決して彼女を逃がすまいとカヤコの両腕を取り、ベッドに押さえつけます。カヤコの折れそうな細い両手首は、僕の片手でたやすく彼女の頭 の上でまとめられました。

「だ……、誰か、いるの?誰なの?」
 恐怖に怯えてキョロキョロとあたりを見回すカヤコ。明らかに人の手の感触をその手首に感じていることでしょう。そして僕の息遣いも、近くで感じているは ずです。しかしその肝心な相手を見ることができないのです。その恐怖はどれほどのものでしょう?
 僕の目の前でカヤコの胸が大きく上下しています。
 自由になった片手をカヤコのブラウスのボタンにかけます。僕にも自分の手は見えないけれど、緊張に震えているのがわかりました。その震える手で、ゆっく りと一番上のボタンをはずします。
「ひっ!!本当に何なの?離してよ……」
 ついにカヤコは泣きだしてしまいました。
 僕は吸い寄せられるように、彼女の頬を流れる綺麗な涙に口を寄せ、丁寧に舐めてあげました。
「いっ、いやあああ!!!」
 とつぜん激しく首を振って、暴れだすカヤコ。僕をふりきり、めちゃくちゃに腕を振り回し、足をバタつかせます。
 そのうち、彼女の細い手首が僕の頬に強く当たりました。
 見えないものを打ったその感触に呆然とするカヤコ。
 そう、もちろんわざとではないのです。
 彼女に悪意はなかった。
 頭ではそう承知していたのですが、そのときの僕には一瞬にして湧き上がった怒りをどうにも制御できなかった。
「うあああぁぁああぁぁああぁあぁぁ」
 そんな壊れた蓄音機のような声が頭の中に響きました。
 今にして思えば、あれは実際に僕が搾り出した叫びだったかもしれません。

 とにかく、僕はカヤコに殴られたことで頭に血が上ってしまって、自分でもよく分からないうちに、彼女のブラウスの柔らかな生地をボロボロに引き裂いてし まいました。
 少しだけ冷静になって見下ろすと、カヤコは自分の体をギュッと抱きしめ、しゃっくりのような呼吸音をさせて、小さく縮こまっています。カチカチと歯を鳴 らし、だらしなく開いた唇からは唾液が零れて細い糸を引いていました。かっと見開いた目はせわしなく右に左にと痙攣しているみたいに動いています。
 僕は馬乗りになったまま、そんな彼女の顔に自分の顔を近づけてよく見ようとしました。いつもの柔らかな微笑みをたたえた、温和で優雅なカヤコはそこには いません。いるのはただ、見えない僕という存在に怯えきり、自失した哀れな女です。
 ただの破れた布のはぎれでしかなくなったブラウスが、申し訳程度に彼女の肌を隠します。彼女の脇腹が、真っ白なブラジャーに包まれた豊満な胸が、華奢な 白い肩が、荒い呼吸に大きく波打っています。
 胸の前にクロスさせている腕の中を覗き込むと、ブラジャーのカップが少し浮いていて、ほんの少し、ほんのわずかに、彼女の白いもち肌とは違う薄い桃色に 色づく部分が見えました。
 僕は再び、自分の頭がカアッとなって意識が薄れるのを感じました。
 現実感のない中で伸ばした手が、カヤコの両腕を掴み、ブラジャーを剥ぎ取ります。勢いよく豊満な乳房が弾け出てブルリと揺れます。
 僕はブラジャーを投げ捨てると、その丸い肉にむしゃぶりつきました。手の平に余るボリュームは、こんなに柔らかいのかと驚くほどに手に吸い付き自在に形 を変えます。それなのにギュッと握ると確かな弾力を持って僕の指を押し返します。
 僕の手は、自分自身でも見えませんから、目に映るのは僕の力加減に合わせてグニュグニュと変形する彼女の乳房です。自分の手の平の中央に突起を感じま す。そして同時に、目の前の乳首が奇妙に押し潰されてクリクリと動いているのです。
 こんな不思議で興奮を誘う物があるでしょうか?
 えもいわれぬ感触と、目の前で展開する不思議な光景に僕は我を忘れて、必死にカヤコの乳房を揉みしだき、しゃぶりつきました。
「うっ、うっ、うっ……」
 どのくらい僕はカヤコの乳房を舐っていたのでしょうか。ふと顔をあげると彼女がひどく嗚咽していました。かわいそうに。もう暴れる気力もないのでしょう か。
 手を伸ばして涙を拭ってやると、カヤコはさらに大声でワアワアと泣き出しました。
「もう嫌、もういやあ、助けて」
 両手で顔を覆い、さめざめと泣くカヤコ。しゃくりをあげるごとに、もう何にも隠されていない胸がブルンブルンと揺れます。
 細く閉まったウエストが目の前でくねります。さっとスカートを捲り上げましたが、カヤコは気がついているのかいないのか、ただ泣き続けています。
 ストッキングに包まれた下腹部を見ていると、やはり僕の劣情は耐え切れぬほどに高ぶってきました。張りのある太腿を撫でて、サラサラとした合成繊維の感 触を楽しみます。
 そうしてその手を彼女の足の付け根に差し入れて行きます。そこはこころなしか熱い湿気を帯びています。カヤコはそんな僕の手の進入を拒むように足を ギュッと閉じて擦り合わせます。
「お願いですから、もう許してください」
 鼻をすすりすすり、カヤコは虚空に向かって懇願します。どうしてでしょうか、ずっと本当に愛しく思っていたカヤコなのに。彼女の望むことならなんでもし てやりたい、望まぬことは何一つすまいと思っていたはずの人なのに。彼女の啜り泣きを聞いても、今の僕は一片の憐憫の情も感じませんでした。
 おそらくカヤコの心の中にいるのが僕でなく、ほかならぬ僕の友人であると分かった時から、彼女に対して憎しみを抱いてしまったように思います。カヤコに してみればいい迷惑でしょうが。
 とにかく僕はなんのためらいもなく、カヤコのストッキングのウエスト部分のゴムに手をかけると、その下の彼女の下腹部を包む小さなパンティもろとも引き 摺り下ろし、脱がせたそれを床に打ち捨てると、閉じられていた膝を割り開きました。
 僕はもう限界だったのです。自身の欲望を、カヤコのために押さえつけることなど不可能だったのです。
 初めて見るカヤコのそこは、アキヒトに連れられていった売春宿にいた女のそれとは明らかに違っていました。陰毛の色も密度も薄く、なによりピタリと閉じ られたのです。

 その時です。僕がその美しい秘裂に見とれて動きがとまった気配を感じ取ったのか、カヤコが不意に体の向きを変えて四つんばいになりました。体の力を抜い ていた僕は彼女の俊敏な動きに一瞬ついて行けませんでした。
「助けて、だれか、助けて!」
 カヤコは大声を上げながら身を捩り、ベッドから降りようとシーツの上を這いずります。
 僕は大慌てで、必死に這い逃げようとする彼女の腰を抱え上げ、ベッドに叩きつけるように転がしました。
「きゃあっ」
彼女の身体がベッドの上に弾みます。その投げ出された体の上に僕は再び馬乗りになり、彼女の髪を鷲づかみにしてベッドに押さえつけました。
「ぐっ!」
 カヤコが目を見開きます。
 僕は彼女の胸の上に座るような形になっています。真下にカヤコの怯えきった蒼白な顔があります。呼吸のために半開きにした口が目にとまりました。
 小さく可憐な唇。普段は品のよい微笑みをつねに口端にたたえていました。おそらく汚い言葉など発したこともないであろう、綺麗な口。今は哀れにも口の端 には涎すら光らせて情けなくわなないています。
 ああ、たまらない……
 背中の芯を駆け抜けるような、激しい興奮に包まれて、僕は膝立ちになり、必死に体をずらしながら、はいていたズボンと下着を下ろしました。さきほども申 しましたとおり、脱ぎ捨てるわけにはいかないのです。

 僕は髪を掴む腕に力を込めてカヤコの顔を僕の股間へと引き寄せました。同時にもう片手で自分自身の肉竿を握りしめ、彼女の唇へ押し当てました。
 髪を掴まれた痛みに一瞬顔を歪ませるカヤコですが、次の瞬間に感じた唇への奇妙な感触に戸惑いの表情を浮かべます。
 一気に腰に力を込めると、先端に前歯があたる感触がありましたが、一瞬で僕のペニスは彼女の口の奥まで飲み込まれました。
「ごふぅっ!」
 見下ろすと、カヤコが大口を開けて、見開いています。突然の異物を押し出そうと舌を暴れさせているのも見えます。その舌の動きが僕のペニスの裏側をいや らしく刺激しています。
「くっ!くふっ!」
 見開いたカヤコの目からポロポロと涙がこぼれ、口の端から唾液が垂れ落ちます。哀れな、そしてどこまでも愛しいその表情。
 僕は自分の股間のヌルヌルとした暖かさと、暴れるカヤコ舌の感触と、根元にわずかにあたる彼女の歯の硬さと、そしてこのエロティックな光景に、しばし酔 いしれました。
 やがて、すぐにそれでは足りなくなり、カヤコの髪を掴んだ手を強く前後に振りたくりました。
「ごふっ!!うぐぅ!!」
 強烈な苦しさが彼女を襲っているのでしょう。普段の理知的なカヤコとは程遠い、必死の形相をしています。それでも恐怖からか、僕を噛もうとはしませんで した。後で足をバタつかせる音が聞こえます。
 彼女は自分の口の中のものが何なのか、知っているのでしょうか。それとも今の苦しさから逃れたい一心のみで、そんなことに頭をめぐらせている余裕はない でしょうか。
 少なくとも、まさか自身の知り合いで、しかも想い人の友人である僕の性器だとは、思いもしないのでしょうね。

 ああ、たまらない。たまらない。たまらない。
 僕は天を仰ぎ、うめき声をあげました。あとほんの数往復で、すでに僕は果ててしまいそうです。
 こんなのは嫌だ。僕はもっとカヤコの全てを知りたいのだ。
 名残惜しいけれど、僕は最後の一撃とばかりに、彼女の喉の奥へといきり昂ぶりきった肉棒を突き込んでから、彼女の頭を離しました。
「うっ!うぇぇっ!!ごほっ!!」
 彼女はベッドに突っ伏し、盛大にむせています。
 その隙に僕は下へと体勢をずらし、彼女の足を押し開くと、自分の体をねじ込ませました。そして意識がおろそかになった下腹部へ手を差し入れます。まった く潤いのない割れ目でしたが、僕の股間はすでに彼女の唾液で十分に濡れています。その先端で何度かカヤコの性器の上をなぞっているうちに、ソコが開いて僕 は目当ての場所を、彼女の中心部分を、探りあてました。
 カヤコの体がビクリと跳ねます。恐怖にひきつった目で、カヤコは自分の開いた足と下腹部を見下ろします。
 感覚的に、自分の身に起こるであろう悲劇を悟ったのでしょう。
「い、いや……。いやあああっっ!!」
 絶叫をあげ、カヤコはジタバタともがきだしました。
 その細い両足が激しく僕の脇腹を打ちましたけれど、もう僕は怯みませんでした。もう絶対に彼女を逃がさないという強い気持ちで、彼女の体を強くベッドに 押さえつけました。
 激しい悲鳴をあげるカヤコの口を必死に押さえます。彼女の口元が僕の手のひらに押されていびつに歪みます。
「んーっ!んんーっ!」
 口を押さえられているので、体をよじらすカヤコは苦しそうです。精神的な負担も影響してか、体力もかなり消耗しているようでした。彼女の首筋に顔をうず めると、汗のにおいが湿った空気となって香ります。それは石鹸のようなシャンプーの香りとまじり、えもいわれぬ芳しさとなり、僕をクラクラさせました。
 僕は懇親の力を込めて腰を進めました。
 激しい抵抗が、僕の肉棒の先端を押し返しました。こんな感覚は、以前商売で春を売る女と経験した時にはなかったものです。
 もちろん僕にはその抵抗がなんであるか分かっています。カヤコには今まで男性経験がなかったということです。もちろんそうだろうとは思っていましたが、 期待を裏切らずに清い体でいてくれたことを、僕は嬉しく思いました。
 カヤコの想い人である、僕の友人ではなく、この僕が、この僕が、この僕が、カヤコの最初の男になるのです。
 僕は痛みすら感じさせるほどの締め付けの中、乾いた肉をかきわけ、ねじり込むようにして僕の塊を埋没させていきました。
「ぐっ!!ぐっ!!」
 口を押さえられたままのカヤコは、大きく目を見開き、全身に力を込めて破瓜の痛みに翻弄されています。僕の透明な手が強く押さえているので、いびつに歪 んだ口も、ぴくぴくと痙攣しています。赤みの差した首筋には、玉の汗と幾本もの筋が浮かび上がっています。
 もう少し、もう少しの辛抱だからねカヤコ。
 苦しげなカヤコの顔をじっとみつめながら、僕も必死にカヤコの奥へと進入していきました。気を抜くと、あっという間に押し出されてしまいそうなほど、彼 女の膣は圧力を持っています。
 僕は目を閉じて、彼女を一息に奥まで刺し貫きました。
「ぐぅぅぅっっっ!!」
 カヤコの全身が強烈な力を持ってビクビクと跳ね、一瞬僕は振り払われそうになりました。
 僕はカヤコの口を離し、両手で彼女の細い体を抱きしめました。
「あっ!!くふっ!!ああっ!」
 肉壁をこじ開けられる痛みに加え、見えない力に締め付けられて、カヤコは呼吸もままならないほどに体中を痙攣させて苦しそうに喘いでいます。
 きっと今、カヤコは見えない力に翻弄されて、混乱の極みにいることでしょう。
 しかし自分の処女が奪われてしまったことは、はっきりとその体で理解していることでしょう。
 苦しいでしょう。つらいでしょう。痛いでしょう。悲しいでしょう。
 なんてかわいそうなカヤコ。
 僕が下腹部の方に目をやると、僕の透明な体は僕の視界を全く遮らないので、僕に両足を押しつぶされ、まるでひっくり返ったカエルのようにだらしなく足を 広げて、腹のあたりをヒクヒクと痙攣させている女の体が見えます。
 力任せに腰を打ち付けると、その僕の力の加減にあわせて彼女の体が爆ぜ、たわみ、しなります。
 パンパンパンパン――
 下卑た肉のぶつかる音が響きます。
「いやあっ!いやあぁぁ!」
 カヤコのすすり泣きが耳元で響きます。
 グチョグチョという、粘着的な音が僕の耳に届きます。
 カヤコのあそこに突き入れ、引き抜くたびに、僕の下半身は絡みつくような、ねちっこい圧力に包まれます。
 僕の男性器は、いまだ経験したことのないほどの硬さで屹立し、カヤコの中心をえぐり続けます。
 僕はカヤコの頬を両手ではさんで、彼女の顔を間近で見ながら腰を振り続けました。その視線の焦点が僕に合うことはないけれど、僕が憧れの人をこの腕に抱 いているのだという実感が湧いて来ます。今までは決して届かなかった、近くて遠い存在だったカヤコを抱いているのです。
 カヤコの口元はわなわなと振るえ、その開いた唇からは荒い吐息が吐き出されて僕の頬を撫でます。まぎれもなく、生身の肉体を組み敷いているのだと痛切に 感じることができます。
 僕はずっとずっと高い、手の届かぬところにいた天使がようやく僕と同じ高さにおりてきたのだと、思いました。
 いや、同じじゃない。こうして、ぼくの腕の中で震える彼女は、すでに僕の好きなようにできる存在なのです。
 そう。僕をこうして受け入れたカヤコは、つまり僕の女になったのです。
 カヤコを手に入れた喜びに、僕はもう我を忘れて腰をふりたくり、カヤコを犯しつくしました。
「いや、……ああっ!ああうっ!!……ああっ!……いやあっ!!」
 やがて少しずつカヤコの全身から力が抜けていき、やがて小さな呻きとすすり泣きへと変っていきました。
 相変わらず室内には性交にともなう卑猥な肉の音が響いています。
 グチョグチョグチョグチョグチョグチョ――――
 カヤコの柔らかい肉に擦り上げられているうちに、僕の腰のあたりからやはり今まで感じたこともないような大きな快感が走りぬけました。
 僕はなにも考えられない中で猛然と腰を叩きつけ続けました。
 僕の喉の辺りから搾り出されるうめき声が他人の声のように聞こえます。
「い、いやあ!!やめてえっ!!」
 僕の雰囲気が変ったのを察したのでしょうか。急に猛然とカヤコが暴れだしました。
 しかし僕の力にはかないません。がっちりとカヤコの体を抱きしめ、その唇を僕の口で塞ぎ、腰だけを激しく打ちつけました。
「うぐっ!!うぐうううっ!!」
 僕の腕の中でビクンビクンとカヤコの体が躍ります。
 ああ、もう限界です。
 僕は一際奥深く、最後の一撃とばかりにカヤコの奥の奥まで自身を打ち込み、その体内に精を放ちました。
 熱い、熱い、放出でした。
 僕の全てを流し込んだような、そんな錯覚に陥ります。

「ううっ!!うううっ!!」
 体をぶるぶると震わせて、カヤコはむせび泣いています。

 しばらくの間は僕は完全に力を使い果たしてしまい、果てた姿のまま、彼女に体重を預けていました。
 僕は大きな満足を感じていました。いや、本当は、心の奥からどろどろとした恐怖や、大変ことをしでかしてしまったという後悔や、とにかく今にも噴出しそ うな感情に気づかぬふりをして、強い充足感に酔いしれているのだと自分に言い聞かせていたのでした。

 その後、彼女は放心状態のままとなり、そのまままる一週間家から出ませんでした。その間、透明な僕が玄関を勝手に開けて出て行くことはもちろんできず、 僕もカヤコの家にとどまることとなりました。もちろん彼女の様子が心配だったのもあります。
 彼女は家に篭っている間、ほとんど眠らず、また食事もとりませんでした。ベッドのすみに膝を抱いて座り、ときおりぶつぶつとなにか呟いたり、突然髪をか きむしったり、怯えた様子で布団にくるまって泣き喚いたりしていました。
 そんな姿を間近で見ているわけですので、僕はカヤコが可愛そうになりましたが、今の状態の僕がなにか行動を起こすのは逆効果になるのは承知していました から、僕はじっとカヤコの傍らで彼女を見守っていることしかできませんでした。その間は、もちろん食事をとれなかったので僕まで餓死寸前でした。
 一週間がたったころでしょうか。ようやくカヤコが雑炊を作って食べたのを見て、僕は心底安心しました。
 そしてその夜、カヤコが寝付いたのを見計らって彼女の家を出ました。

 それからまた2週間ほどして、カヤコは大学にまた顔を出すようになりました。
 げっそりと痩せてはいましたが、思っていたよりは元気そうだったのでほっとしました。
 アパートは引き払ったそうです。
 そしてほんの少しだけ、強くなったように見えました。
 ほどなくしてカヤコは友人のアキヒトと付き合いだしました。アキヒトも急に心を入れ替えて、まじめに一人の女性と向き合うつもりになったようです。
 結局僕は失恋をしたことになりますが、不思議と嫉妬などは感じませんでした。
 カヤコの最初の男は自分であるという自負もありましたが、素直に彼女が幸せになればいいなという気持ちです。

 件の僕の能力は一向に衰えてはおりません。
 さすがにカヤコにしたようなひどいことはあれ以来していませんし、これからもするつもりはありません。
 ただ、それなりに便利には過ごさせていただいています。



 ――さて、以上が僕の体験談でした。
 どうして、急に僕がこんな自分の体質を公表することになったのか、不思議に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
 せっかく恵まれた能力なのだから、こっそり自分一人で楽しんでいればいいじゃないかと。
 もちろん、僕も当初はそのつもりでした。
 しかしある時、気づいてしまったのです。

 何にかというと、この能力が決して珍しい能力なのではないのだということにです。

 つまり。
 同じような能力を持ち、それを誰にも打ち明けずに悪用している人間が、想像以上にたくさんいるということです。

 みなさんも、ありませんか?
 風呂に入っている時、確かにそこには誰もいないはずなのに、それでも視線を感じることが。
 人の目を盗んでちょっといやらしいサイトを閲覧している時、一人しかいないはずの部屋で、なぜか背後が気になったことが。

 いるのですよ。

 だからご注意くださいと、ただ申し上げたいばかりに、僕はこうして恥をしのんで告白させていただいているのです。

 くれぐれも、ご用心くださいね。



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